熱中症を防ごう

        福島労災病院運動器疾患センター 岩井和夫 

 

 熱中症は水分と塩分の喪失で起こる病気です.蒸し暑いこれからの時期には患者さんが多くなります. 熱中症にならないために次のことを注意しましょう.

1)WBGT(湿球黒球温度)を計ろう 

 熱中症は、高温,多湿,無風の時に起きやすくなります.WBGTは、Wet-Bulb Globe Temperatureといって、気温、湿度、輻射熱を総合的に表す温度です.インターネットには地方ごとの今日の予想値が出ています.5000円程度で持ち運びできるWBGT計も売っています.この温度が31度以上の時は運動、炎天下の仕事は原則禁止です.28度以上の時は厳重警戒で、初心者や体力の弱い人は運動を中止しましょう.25度以上が警戒温度で、休息や水分摂取に十分気を付けましょう.

2)通気性,吸湿性の良い衣服や日影での作業を心がけましょう.

 登山用など良い素材の衣服があります.暑いところで作業する人は衣類に気を配り、少しでも日陰の風通しの良い場所で仕事をしましょう.

3)初心者,初夏が危険.汗のかき方にもうまい下手がある

 ぽたぽた垂れてしまう汗には体を冷やす効果はありません.だんだん暑さに慣れてくると塩分の少ない上手な汗のかき方をできるようになります.暑くなり始めの時期や、スポーツや仕事の初心者は特に気を付けましょう.

4)長時間の運動、労働を避ける

 炎熱環境の仕事は休息や交代をしっかり決めておきましょう.

5)水分と塩分の補給をしっかり

 水の吸収は主に大腸から行われるので飲んでから20分かかります.仕事やスポーツの前に予防的に水分と電解質を補給しておきましょう.塩分は、糖分が一緒にないと吸収が悪くなりますので.水分だけでなく塩分と糖分を含むものが良いでしょう.水を飲みながら、梅干しを1個と氷砂糖を1個つまんだりすると良いでしょう.

 糖分は1-2.5%ぐらいがいいと言われ,市販のスポーツドリンクであれば2倍に薄めた程度がこれに当たります.5-15度に冷えた物はさらに有効です.特に多量に発汗する職場や運動では、OS-1が良いでしょう.20-30分にコップ一杯程度を目安に飲みましょう.

6)体調不良をさける

 二日酔いは、仕事を始める前から脱水です.前日の飲み過ぎはやめましょう.

3.熱中症の重症度

1)1度(日射病)

 気分不良,脱力感,頭痛がおこります.意識低下などの重症でなければ、日陰で休ませ、水分と塩分と糖分を摂らせましょう.   

2)2度(熱性けいれん)

 手足や腹部の痛みを伴ったけいれん,嘔吐,めまい,耳鳴りが起こるとやや重症です.涼しいところへ運び,服を緩めて体をふき,風を送り、1%ぐらいの糖分入り食塩水を飲ませましょう.必ず誰かが付き添いましょう.

3)3度(熱射病)

 皮膚は紅潮し,さらさらして、体温の異常な上昇(39-41度)や意識障害がある場合は大変危険です.可能であれば動脈の触れる腋下,そけい部をアイスパックで冷やし,救急車で速やかに病院へ送りましょう.

 

整形外科 岩井和夫
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
外来担当 毎週(月~水、金)