肩の痛みとその対策

福島労災病院運動器疾患センター 岩井和夫

1.「肩」の特徴

①肩は頸と一体なっています.

3-4㎏の頭と10kg以上の両腕を筋肉で頸から吊っている構造なので、頸の筋肉には強い負担がかかっているのです.

腕の骨は肩甲骨、鎖骨、胸骨、肋骨を介してようやく脊椎とつながっており、骨で肩の重さを支えたり,安定させたりすることはできません.

②肩の動く範囲はとても大きいのです

前後左右に200度以上動くために、肩の関節は浅くできており、筋肉と靱帯がたくさん付いています.それだけ筋肉や靱帯に負担がかかっています.

③肩痛は中年の痛みです

家事は前屈みの姿勢が多いため、肩は中年女性の痛いところ第1位です

子育てが終わるためでしょうか?65歳以上では女性の肩の痛みは減る傾向があります.

④肩は社会生活とも密接な関係があります

「肩肘張る」「肩を怒らす」「肩身が狭い」「肩を落とす」「肩をすぼめる」などたくさんの表現があるように、肩は社会生活の影響で縮んだり緊張したりするようです.

⑤肩はストレスとも関係しています

他の筋肉が脊髄神経で動かされているのに対し、肩の回りの筋肉は脳から出る神経(脳神経)が動かしているためか、肩は頭の疲労で異常が出るといわれています.

 

2.軽い肩の痛み(肩こり)の養生

1)原因をチェックして、以下の問題があればそれを改善をしましょう.

以下の病気や問題点で肩がこりやすくなります.

①高血圧症

②頚の病気

③視力低下,眼の疲れ

④ストレス

⑤姿勢(机、椅子、コンピュータ)

⑥窮屈で重く、伸縮性のない衣服

⑦重い荷物、ショルダーバッグ

2)その対策

①ストレッチと運動をしましょう

・ストレッチは前後、左右、内ねじり外ねじりの6方向をおこないましょう

・肩上げ肩落とし運動 5秒間思いっきり肩をすぼめ、ストンと落としてやる運動は肩の緊張をとても良く取ってくれます.

・肩回し運動 大きく、ゆっくり、前から、後ろから肩を廻しましょう.

②強いマッサージ,ぶら下がりは禁物です

③肩を良く温めること

風呂,使い捨て懐炉,軽くて保温性の良い下着,マフラーで暖めると楽になります.

④冷房をさえぎったり、寝る場所を替えてみましょう

気付かない程度の風速の冷気が肩に当たっていたり、ドアや外壁を介して寝ている時の肩に冷気が当たっていることがあります.

⑤眼鏡、照明を替えてみると効果があることも.

明るい環境で,合った眼鏡を使い、テレビやパソコンは光りすぎないようにしましょう.

⑥机、椅子、コンピューターを替える.

視線は10度下を向くように、肩を自然に垂らした位置に机やキーボードがあるように調整しましょう.

⑦ストレス対策

ストレスの気づきにはストレスチェックを、対策にはストレス源を減らす、ストレスを発散する趣味や気分転換を持つ、同僚や家族と相談するなどがあります.

⑧バッグ、持ち物を考える

荷物を減らしたり、軽いバッグ,広い肩ベルト、ショルダーバッグをバックパックやキャリーバッグにするなどの対策が有効です.

⑨血行を良くして疲労をとる目的で,ビタミンB1,C,Eや適度な糖質を摂る.

・ビタミンB1=豚肉,玄米,全粒パン,そば,小麦胚芽

・ビタミンC=果物,サツマイモ

・ビタミンE=豆,ナッツ   など

 

整形外科 岩井和夫
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
外来担当 毎週(月~水、金)